”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

ベンジャミン・バトン - オスカー候補

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今年のオスカー候補、第一弾は“ベンジャミン・バトン”である。“セブン”のデヴィット・フィンチャー監督作品だが原作と言うか元になっているのは1921年に出版されたスコット・フィッツジェラルドと言う作家が書いた短編である。邦題の表記では”バトン”(バトン製造業?)だが彼の実家の生業はボタン製造業なので”ボタン”である。

映画の出だしは原作とは大分違うが総体的な最初の印象は“イングリッシュ・ペイシェント”+“フォレスト・ガンプ”+“小さな巨人”といった趣であった。ところが映画が進むにつれそんな印象は消え(実際はそうでもない)独創性のあるストーリーテリングにのめり込んでしまう、、。気がつくと2時間40分と言う上映時間をすっかり忘れ珍しくエンドロール後も暫くは席を立てないでいた。特に最後の15分ほどはもう涙腺が恐慌をきたしスクリーンも霞んでしまった。

ニュー・オリンズの40年代の舞台設定は勿論、メークと撮影技術にも驚かされたが特に若かりし頃のブラッド・ピット(記憶に新しい)やケイト・ブランシェットの均整の取れた肢体とその巣晴らしさを表現した映画技術の高さには脱帽だ。

無垢な状態で生まれ、普通に年輪を重ねるのとその逆に年々若返っていく人生、、この二つには大きな違いがあるのではないかと思いきや年を取り、老いていくと言う事は人間幼児性を増して行き最終的には生まれたての赤ん坊と同じ状態になるのではないかと思い当たった。最後は愛する人の腕に抱かれて眠るように息を引き取るこんな“贅沢”を許して貰えるなら逆回りの人生もそれはそれで良いではないか、、と思い暫し座席から立てなかった訳である。

アメリカではこれら奇想な人生を描いた映画が一般受けし“フォレスト・ガンプ”などはオスカーも複数受賞するが日本国内ではどうであろう。勿論ブラッド・ピット見たさのファンも多いのだがこの映画ではこれまでの彼なりのアクションもなくじっくり演技派とも呼べる内容なのでそれを期待すると、、。片やケイト・ブランシェット、此方も益々磨きがカかって魅力ある女優さんになって来た。更にジュリア・オーモンドティルダ・スウィントンなどの脇役陣が大変良い。この映画、おっさんは別に映画会社の回し者ではないがお勧め度100%、是非ご覧頂きたい。