思えば物心ついて初めて観た洋画がアメリカの戦争映画”全艦発進せよ、”(Away All Boats!)であったと記憶している。製作年度が56年なので7-8歳の頃だと思うが(国内での封切り年は未詳)英語は勿論のこと字幕を読むのもままならない頃なのにカミカゼ攻撃にさらされた米軍戦艦の艦長が重傷をおして自艦と乗組員を帰港させるべく努力を重ね、やっと丸窓越しに帰港先の港を見届けた後に息絶えると言う壮絶な責任感を描いた映画であった。後に判った事だがベストセラー小説の映画化で主演はジェフチャンドラー、その渋さ(子供心にそんな事が判ったのか、、)と責任感の強さには大きな感銘を受けた。しかし題材が米国海軍との交戦を描いたものであり、日本人としては複雑な心境であったハズなのだがオヤジとお袋に連れて行かれた有楽町スカラ座をはっきりと思い出す事が出来る。
Shane Come Back,,,,,日本人いや世界中の人の心に訴えたであろうあの呼び声"Shane"、53年製作なので翌年あたりに日本で上映されていれば当時5-6歳、従ってリバイバル上映時に初めて観たものだと思うが親戚に連れられて出掛けた記憶がある。何かデートのダシに使われた形跡があるのだがアランラッドのあのガン捌き、ゲーリークーパーやジョンウェインと並んで早撃ち0.3秒に目を見張り、せがんで貰ったマテル社製のモデルガンを腰に付け毎日特訓したものである。
その数年後59年には大作”ベンハー”がテアトル東京で一年のロングラン上映された。上映途中に休憩を挟む3時間超えの70mm巨編、ベンハーが実母や妹を訪ねる場面では思わず目を覆った記憶もあるがキリストの生涯に接した初めての経験。カソリック系の幼稚園を経て米軍負傷兵士を受け入れる病院前に自宅があった事やクリスマス時期にはその前庭にキリスト生誕の情景を描いた模型や絵画が飾られていた事が知らず知らず興味を持たせ影響を及ぼしていたのではないかと思う。この映画はかなり長い間、我が心のベストフィルムとしてランクされていたものである。祖母とはかなり多くの映画を観に出掛けた記憶があるが洋画は後にも先にもこれ一本であったような、、、。