これは劇場公開時に見逃していたものでやっと見る事が出来た。銀行強盗を題材にした映画はそれこそ山ほどあるしアメリカ産とイギリス産でもその発音だけじゃなく微妙に作りかたが違うものだ。銀行の金庫に直接押し入る常套手段が使われるしスパイク・リー監督のアメリカ産”インサイド・マン”とこの”バンク・ジョブ”は想定がとても近いものがある。
双方とも銀行の貸金庫を狙って押し入るのだがアメリカ版は金庫内に居座って時間をかけた強奪を、こちらイギリス版はクラシックなトンネル堀りで金庫内に到達する方法である。狙いは勿論現金だが貸し金庫にはそれこそ人には公表出来ない秘密がぎっしり、思いがけず犯人一味がそれを手にしてしまいそこからが予想外の展開で事が進んで行く。このプロットは共通している。
息をもつかせぬアクション映画、とは言えないがそのプロットは面白い、これがイギリス仕込みの作風と言う事になるんだろう。お陰で一味はMI6やらスコットランド警察、それにドラッグディーラーやら高利貸しからも狙われる始末だ。もう盗まれた現金はどうでも良い状態ってのも面白い。第一預けた人たちは公表出来ない現金かもしれないし貸し金庫の持ち主と名乗り出る事も出来ないので全て中身は怪しいものと判断されてしまう。従って誰も幾ら預けていたなどと届けられない、、これは意表を突く点で銀行側も盗まれた送金額を公表出来ない訳だ。盗んだ一味だけが現金が幾ら手に入ったか判る仕掛けである。しかもこの映画、何と実際に71年にロンドン市内で起きた大掛かりな銀行強奪事件を題材にしている。やはり事実を素材にしていると緊迫感も違うし強奪の手口も信憑性を帯びて来る、、。
”トランスポーター”シリーズで活躍中のジェーソン・ストラッサムが(元水上ダイビングの選手)素人強盗団を指揮するリーダーを演じているがこれが結構はまり役だ。派手な立ち回りは少ないが彼の魅力を再認識させれくれた。