”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”隠し砦の三悪人”、タイトルが良い、、。

黒澤監督のオリジナルは58年制作、サブタイトルに”ラスト・プリンセス”と付けたリメイク版は08年制作だ。昨晩DVDで見る事が出来た、実はオリジナル版もあってどちらから先に見るかな、、と思案したのだが結局リメイクを先に見てしまった、。
 
イメージ 1オリジナルは後年ジョージ・ルーカスが”スター・ウォーズ”制作時にそのインスピレーションと言うか多大な影響を及ぼしたと言及しているのは映画ファンご存知の通り、確かに雪姫はレイア姫、太平と又七はC-3POR2-D2、ロボットだ、、。
 
リメイク版では今度は逆に”スター・ウォーズ”からの転用で鷹山刑部(椎名桔平)は全身黒ずくめでお面までダース・ベイダー、、登場時の音響効果までナンか似ているよな、、。
 
一応最後まで見たのだが、、まあ勝手に解釈しろい、で折角の黒澤名作もこれじゃ浮かばれないかな??と言うのが率直な感想である。
 
別に”ラスト・プリンセス”何て付けなくても良さそうなもんだが、制作費15億円、(邦画じゃ破格)も計上したのならもう少し骨のある映画にして欲しかったかな、。
 
イメージ 2
これがDVDのジャケット、今時のタイトルとしては抜群に良い響きだし内容を知らなくてもこれなら見に行くかな?でもドイツが”三悪人”なんだか、、そりゃ最初は金塊を盗もうと悪巧みをするのは武蔵と新八、、この二人だし、。砦のなかに入ってからは悪人はダース・ベイダーもどきの鷹山刑部だけなんだがな~、、真壁六郎太(阿部寛)は最初から姫のお守り役で強い武将だ、、。
 
オリジナルは雪姫(上原美佐)、そして
真壁六郎太(三船敏郎
太平(千秋実
又七(藤原釜足)と個性ある役者さんだった。
 
黒澤監督版は1958年度キネマ旬報ベストテン にも選ばれていて(邦画部門二位)だった。
 
お姫様を敵から守って護衛しつつ大量の金塊を運ぶ、プロットとしちゃこれほどハッキリしていて簡単明瞭なストーリーはないだろう、、。ウン、待てよ、
 
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これはかなり好きな西部劇で”ヴェラクルス”と言う。制作は何と黒澤監督版より以前、54年である。主演はゲーリー・クーパーバート・ランカスター、、ストーリーは南北戦争後のメキシコ、、二人の凄腕ガンマンがひょんな事からマクシミリアン皇帝寄りの侯爵に護衛を依頼され伯爵令嬢を馬車に乗せヴェラクルスの港へ向かう、、。
 
ところがどうも護衛の兵士の数が半端じゃない、そのうち革命派からも追われる立場に、何と馬車の隠し戸には金塊が、この軍資金を皇帝派に届けるのが真の理由だと判った二人は反目しながらも何とか盗む算段をするのだが、、。
 
と言うモノなのだが実に似てませんか?さては黒澤監督はこの映画にインスピレーションをかき立てられたのかな、と思う程だ、。映画は息もつかせず一転、二転、、最後はこの反目する二人が刀じゃない腰の拳銃で決闘をするのだがこれが又、素晴らしいシーンだ。
 
ゲーリー・クーパーは撮影時にはもう50歳を越していたがニヤケタ黒装束のバート・ランカスターが悪役とすると善良そのものの紳士、南軍の生き残りと言う設定だしその紳士振りは忘れられない、。ゲーリー・クーパーが丁度このメキシコの撮影現場からオスカーの主演女優賞の発表をした、その時、受賞した女優さんは”ローマの休日”のオードリー、、壇上に呼ばれて上がったのはいいが行き先を間違えて進んでしまった、、そしてそのスピーチが又、チャーミングで素晴らしかった。ともあれこれは黒澤監督にも負けていないロバート・アルドリッチ監督の痛快秀作である。
 
これがそのオードリーの貴重なオスカー受賞シーンです、、、もう言う事ナシ、素晴らしい、、決して演技している訳ではありません、。