”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”女の中の二つの顔” TVドラマ

その事件は6年前の深夜、山道をドライブする車がブレーキ操作不能でガードレールを突き破って海へ転落するところから始まる。運転していたのは滝川の弟、同乗していたのは婚約者で資産家の娘、佐島彩乃である。画面は一転して陸に打ち上げられた彩乃だけがアップに、、、彼女だけが生き残ったらしい。
 
そして6年後の現在、滝川の弟の同級生だった雅夫と彩乃は夫婦となり鎌倉の豪邸に住んでいる。雅夫は近くの小学校の教師で事故死した滝川の姉、絵美子の二人の子供も懐いていてとても仲が良い。絵美子の夫は日本橋で会社を経営しているが業績が芳しくない、経営コンサルタントを使ったりしているが一向に業績も上向かず苦難の毎日、そんなある日、彩乃が青山にあるマンションで首を絞められ死んでいるのが発見される。
 
この辺りから緊迫度が俄然増してくる。果たして犯人は最近それとなく彩乃が離婚を仄めかしていた夫の雅夫か、それとも誰か別の人間か、。刑事が二人登場し関係者の聞き込みが始まるのだが夫々にアリバイがあり何ら進展が見られない。
 
犯行の当日、実は絵美子は雅夫に勧められ義母が仕切る江戸組紐教室の材料を仕入れる為に青山にいたのだがその時どうも夫と彩乃が歩いている姿を目撃していたような気がする。でもその事を刑事に話す訳には行かず夫にも確かめられないでいる。妻を亡くした雅夫はその遺産を相続するのを心待ちで教員の仕事も辞め好きな車いじりに没頭中、自身が子供好きでもあり絵美子に好意を寄せて来る。
 
とまあこんな具合で進んでいくのだが見ていてこりゃ原作を書いた作者は只者じゃないぞ、、と思わせる。”太陽がいっぱい”を思い起こすような犯罪劇だ。それに妙に展開が似ているんだな、、、そこで早速調べてみたら原作はエドワード・アタイヤと言うレバノン人の作家でこの小説は51年に”A Thin Line”(細い線)と言うタイトルで発表されていた。さてはパトリシア・ハイスミスに感化されたな、、イヤ、逆じゃないか”太陽がいっぱい”の原作は55年だった。
 
フランスではちゃんと71年に映画化もされていてそれがこのスチール・ポスターだ。タイトルが”Juste avant la nuit”で”夜のように暗い”って事らしい。更に日本でも映画化されていた、、66年に小林桂樹新珠三千代で”女のなかにいる他人”それに72年、81年にも夫々三田佳子大原麗子でTV化されていた。
 
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お話はそこで病床にいる絵美子の義母、、夫の母親の告白で思い掛けない展開へ、。息子で絵美子の夫である誠一郎は大分以前から彩乃とは不倫のなかだったのである。それを帰宅後問い詰めるとあっけなくそれを認めしかも間違って首を絞めてしまったと告白される。
 
其処から今度はどっちが肝が据わっているのやら、”女の中の二つの顔”と言うタイトル通りの筋書きで進んでいく。
 
 
何回もタイトルが違うにせよ映画化、TVドラマ化されているって事はやはり原作が良い証拠だろう。それにしてもレバノンの作家か、、こりゃ気が付かなかったな、、。このフランス版や新珠三千代版も見てみたいな、、この66年に映画化されたほうはその年のベスト邦画にもランキングされているので余計見たい、、。
 
今やインターネット時代なんだから有料でも良いのでこんなのが簡単に見れないものかな??