”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”世界最速のインディアン”

この一週間、敷地内の樹木伐採許認可を市に申請したり外壁塗りのペンキ屋との交渉、保険会社や弁護士事務所とのやり取り、小うるさいおばあちゃんの世話、、その他、、野球観戦もあってPCの前に座る時間が殆どなかった。今も継続していて週末でも休まる時間がない、、雨も全く降らないし、、それは関係ないか、。
 
この映画は原題が”The World's Fastest Indian"(05年)と言ってそのまま直訳された邦題だ。公開当時、家内にせがまれて映画館へ行ったのだが主演がアンソニー・ホプキンズ、、まさか彼が西部のインディアン役で荒野を走り回るのか??などと全く見当違いの事を考えながら席に着いていた。
 
イメージ 1それがナンとこれだった、、、しかも実話だ。ニュージーランドに実在した伝説の人、バート・モンローのお話である。その人、63歳、時代は50年代から60年代にかけて、苦心惨憺アメリカのソルト・レイクで開かれる恒例のレースに出向き、そこで世界最速の記録を樹立すると言う感動、スポ根のお話である。
 
NZのインバーカーギルと言う南端にある小さな町、そこに実在していたバート爺はインディアン・スカウト・モーターサイクルと言う排気量は1000ccに満たないが高速バイク、1940年製を改造、それをこのボネヴィル・ソルト高原に持ち込みレースに参加する。
 
イメージ 2これがご本人、1899年生まれ、78年に78歳で亡くなった。本職は大工さん、、趣味が機械いじりでこの”インディアン”を改造、、当初は最高速度89kmしか出なかったものをレースで勝てるまでにしたそうな、。
 
62、66、67年には夫々288km、270km、295kmの記録を樹立、大会最速記録を更新している。何とオフィシャルではないが、多分予選での記録、時速320kmを出したそうな、これらの記録は今だに破られていないそうだ。って事は実に68歳の爺さんが47歳のバイクを駆って最速記録を打ち立てたって事になる、、、、凄まじい爺さんがいたもんだ。
 
映画はNZの監督、ロジャー・ドナルドソンが名優アンソニー・ホプキンズを迎えて撮った。実際にインバーカーギルにロケを慣行、彼が苦労の末、バイクの改造に取り組み貨物船と交渉してやっとアメリカ本土へ渡るまでが丁寧に描かれている、、。アメリカに渡っても其処はロスアンジェルスの港、今度は其処から延々陸路でソルトレイクまでバイクを牽引して行かなきゃならない、、。ロード・ムービーになりかねないところだが其処は演出と脚本、、それに名優の演技に助けられて一切ダレる事なく競技場までグイグイと引っ張って行かれる。最初のレースエントリー場面でも”おいおい、こんな爺さんがポンコツでバイクで参加かよ、、”と周りから白い目で見られたり出場選手の付き添いかと思われたりするのだが、、。
 
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ニュージーランドで公開された時には興行成績でも記録を樹立したとか、、恐らく成人住人の半分以上が見ている勘定になる。何せ公開後すぐに7億円以上を稼ぎだし(計算すると100万人に近い、、って事はNZは全土で僅か450万人しかいない)続くアメリカ本土の公開でも20億円を越したとか、。制作時の予算が25億円程度なので小粒でも成功した良い例かな、。
 
実在の人物の感動編、映画も素晴らしいし世のジジイ殿に感動を勇気を与えてくれた名作です。配給会社のキャッチじゃなくて本当に本当、、誇大広告じゃない掛け値なしの率直な意見です。