”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

リドリー・スコット監督、二本の”B・R”比較

最初の”B・R”は”ブレード・ランナー”(82年)、SF映画の金字塔だ。そして次の”B・R”は日本を舞台にした秀作”ブラック・レイン”(89年)である。制作された年度に7年の差があるが改めて鑑賞してみると数多い共通点と言うか監督の感性が双方に見て取れる。
 
まず”ブレード・ランナー”の舞台設定だが未来のロス・アンジェルスが背景だ。夜景には日本製商品のCMが大画面に表示されたりしているのだがこの雰囲気は”ブラック・レイン”でも使われている大阪の街角を彷彿とさせるしグリコのネオンサインや道頓堀近辺のネオンは余程監督のお気に入りなのかと思わせる。それに双方の主人公が屋台で食べるうどん、、一方はハリソン・フォードが箸ですするし後者ではマイケル・ダグラスが屋台のおばちゃんに”箸はこうやって持つんだよ”と教えられながらうどんをすすっている。こんな場面は絶対に監督の好みが入っていると思うのだが、、未来的街中で宇宙から戻って来たサイボーグを追っかける刑事がロスの屋台でうどんをすするかぁ、、一方大阪のでのうどんはこれっきゃないだろうと思わせるのだが、、。
 
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更に共通する展開がある、、ハリソン・フォードが逃げたプリス(ダレル・ハナ)が持っていたと思われる”うろこ”を手掛かりに追跡を開始するのだが後者では同様にマイケル・ダグラスがアジトで見付けたサトウの愛人と思われるホステスが着けていた”うろこ”(スパンコール)を発見しそこから追跡を開始する。
 
 
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そして雨中のクライマックス、、”ブレラン”では市内の荒れ果てたビルの屋上が舞台になり壮絶な戦いを演じるのだが、”ブラレン”では段々畑をモーター・バイクで追いかけ回しサトウをやっと追い詰める、(この場面、実際には日本ではなくてカリフォルニアで撮影されている)両方とも同じ構図で雨の中での対決だ。どちらの”B・R”にも昼間のシーンは殆どない、暗い画像が基本でそれを人工のネオンサインが反映するコンテ図は最後まで同じ。
 
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これはハリソン君が屋台でうどんを食べているシーン、、屋台のオヤジに”一つで大丈夫”と繰り返されてしまう。
 
 
 
 
 
 
イメージ 4こちらはアンディ・ガルシアとマイケル・ダブラス、、屋台で食べた後に偽の100ドル札を皿の上で燃やしている場面。その燃えカスからこれは偽札だと判断する重要な場面だ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
最後にこれは共通する訳ではないが両方の悪役を、、、
 
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ロイと言うレプリカントを演じたルトガー・ハウアー、、何せサイボーグだから強い。相対するはサトウを演じた我らが日本の松田優作、、。劇中ヤクザの親分からは”ひよっこ”呼ばわりされるがモダン・ヤクザを見事に演じた。撮影終了後僅か7週間で亡くなってしまいこれが遺作になるのだが彼の渾身の演技、その悪役振り、これは映画の出来を追い越して後世に残る演技だったと評価しても良いのではないだろうか。
 
 
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ブレラン”と”ブラレン”こんなに共通の逸話がある。映画とは見る都度に新発見があるものだがこうして同じ監督の作品を続けて見る映画に対する評価は違うにしてもやはりこれは同じ監督が撮った作品なんだ、、、と思わせる場面に遭遇する。
 
 
日本を舞台にした映画はそれこそセリフ回しが可笑しかったり表示が中国語だったり第一配役だって日本人じゃない人が演じているケースが多かったのだがこれはかなりしっかり作られている、、我々が見ても違和感は全くないと言っても良いのではないだろうか、、やはりコレも妥協を許さない監督のなせる技か?