”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”素敵な相棒~フランクじいさんとロボットヘルパー”(12年)

原題は”Robot &Frank”と至って短い、、しかもロボットが先に来ている、、。まあ確かに”素敵な相棒”なのは間違いないのでこりゃ順当な邦題かな、。主演はフランク爺さんにフランク・ランジェラ、娘がリヴ・タイラー、、で昔なじみがスーザン・サランドン、そしてロボットはHondaが開発した”アシモ”くんのそっくりさんモデルだ。以前から見たかったのだがなかなかチャンスがなかった。
 
イメージ 1設定は近未来のニューヨーク郊外、フランクは宝石専門の泥棒として生計を立てていた元プロ、塀の向こうにもお勤めに行っているのだが今は認知症を起こしかけているただの爺さん、。息子が定期的に様子を見に来るのだがいっそロボット・ヘルパーを買って父の身の回りの面倒をみさそうと決心、、このロボットを送り付ける。
 
最初は嫌がったフランクも色々面倒を見てくれるこのロボットは話し相手にもなるし重宝な存在だと気付く。それに善悪の認証がプログラムされていないので金庫破りの手段を伝授出来る事に気付かされる。そこでロボットにピッキング技術を伝授し共同で人生最後の山を踏むことに、、。何と言ってもこれが生き甲斐だしそんな計画を練っているフランクは認知症はそっちのけで生き生きしている、。
 
手始めにスーザン・サランドンが勤める図書館へ、(実はこのジェニファーは別れた妻)もうこの時代、印刷された本を読む人は少なく図書館も閉鎖されコミュニティー・センターに生まれ変わる予定だ。其処の書庫に保存される貴重なオリジナル本、”ドン・キホーテ”が最初の標的、それを盗み出しスーザンにプレゼントしようとする。同時に近所に住むこの図書館閉鎖を進める開発業者夫妻の金庫から高価な宝石を全部盗み出す計画を立てる。
 
計画はロボットのお陰でまんまと成功するのだが何と言っても前科のあるフランクが一番最初に疑われる、その盗まれた本人や刑事の追求が執拗だが認知症の彼にそんな大胆な盗みは出来るハズがないと主張する息子との間に入ってフランクはこの場に及んでも動じない。しかし待てよ、、、ロボットのメモリー解析をすればフランクが首謀者だと判ってしまうのでは、、?
 
イメージ 2
これが映画に使われた原型モデル、Hondaのアシモくんだ。外観はそれとそっくり同じで身長は1.5m程度かな、、優秀で介護から炊事、洗濯、掃除ナンでも御座れ、庭でフルーツ栽培までやってのける、、、会話もするし”泥棒”も、、。近い将来、こんなヤツが一台あれば良いな~と頷かせる。芝刈りにプール掃除、、肥料撒きから皆さんのお話の相手まで、、、管理人用にプログラムして貰い家賃の取り立ても出来るんじゃないかな??
 
映画は終盤メモリーを削除する事はロボットの”死”には繋がらないと主張するロボット、そんな事に手を貸すのはダメだと言い返すフランク爺さんとの葛藤、、で思いがけない展開に、。ラストシーンは認知症が進み遂に施設に入ったフランク、、家族一同が訪ねて来てピクニックをした帰り際、息子の手にフランク爺さんがメモ書きを、、。そこには”ロボットが耕したトマト畑を掘ってみろ、、そしてEnjoy Your Life”、、と書かれていた。
 
ロボットと会話するフランク爺さん、、娘や息子もいるし古くからのガール・フレンドも健在、しかしこの時代になっても襲ってくる認知症に備える手段がない、、。と見ていて切なくなる、、人間の寿命には限りがあるしそれを大いにエンジョイするべし、と言う教訓かも知れないのだが、若い人が見て受ける印象と我々世代が映画から受ける印象はかなり違うんだろうと考えさせられる映画ではあった。