”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”空飛ぶタイヤ”

このタイトルからはどうしてもジュリーの”空を飛ぶ~、、、TOKIO♪♪”を思い出してしまう。でも半沢直樹を書いた池井戸潤原作の長編小説で09年にWOWOWで映像化され5話完結で制作された。イメージ 1
 
 
大手自動車会社のリコール隠しを主題にしたものでリアルタイムでそのニュースを追ってた当時、”現役時代”のおっさんにはかなり衝撃的な事件だった。
 
09年に映像化された事は全く知らず今回は原作を読む前にDVDを入手、一連の良質WOWOWドラマなので間違いないだろうと独自の判断だったがその期待を裏切らない素晴らしい企業ドラマに仕上がっていた。
 
これまではこんな良心的な作品、スポンサーに気兼ねせずに制作出来る局は受信料を徴収しているNHKだけだと思っていたが、こりゃ視聴料を払って見るWOWOWに完全に食われているんじゃなかろうか??
 
原作が良いから良い脚本が出来ると言えばそれまでだが社員僅か50名の弱小企業が何万人もの社員を抱えるグループ企業に立ち向かっていくさまは企業理念を通り越して痛快だ。それに全5時間枠で丁寧な制作態度、弱い企業が抱える諸問題をここまで明確にし”ジャアント企業”の横暴さに屈しない不屈の弱小企業の戦い振りに我を忘れて一挙に2晩で全編を見てしまった。
 
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配役はこんな感じ、、仲村トオルが不屈の精神を持つ弱小運送会社の社長。その先代にも仕えて来た専務に大杉蓮、大手自動車会社の常務に國村隼、捜査にあたる刑事に遠藤憲一など、、。
 
赤松運送(仲村)のトラックのタイヤが”空を飛んで”しまい道端を歩いていた子供連れの主婦を直撃、死亡事故を起こしてしまうところから始まる。
 
警察の取調べで赤松運送側の整備不良が疑われトラックメーカーが実施した車両検査でも部品の不具合はなく整備不良と言う事で赤松運送は窮地に追い込まれてしまう。
 
車両メーカー側には普段から社の企業理念に不信感を抱く社員がいて今回の死亡事件にも何か隠された真実があるのではないかと内部告発を目論む熱血社員もいるのだが、、そんな展開で赤松運送の運命を軸に早い展開でお話はどんどん進んでいく。
 
弱小企業の資金繰りの困難さ、自動車メーカーのグループ企業には大手銀行もあり資金調達も容易、情報隠しから体制に反抗する社員を人事異動させる事も朝飯前、、そんな出来事がかなり真実味を帯びて続いていく。ある週刊誌の記者がこの事件を追うのだが折角調べて記事にした原稿まで発売前日にはボツ、週刊誌のスポンサーである自動車メーカーが相手ではどうにもならない。
 
5話完結で合計5時間に集約されたものとしてはこれ以上の編集は無理だろう、、それにしても民放ではこんな展開のドラマは作れそうもない、スポンサーからそっぽを向かれ何処も付かなきゃ制作もままならないし、。これで横山秀夫ドラマ、それに同じ池井戸潤の”下町ロケット”、、すべてWOWOW制作のドラマは外れがない。