”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

リモコンも歩けば棒にあたる。

週末の夕方、やっと日が落ちる頃になり涼しくなって来た。6時40分まで明るいので間際に水撒きをして一日を終えようとした途端だよ、、10号のおばちゃんが”アンタ、ちょっと手伝ってよ”、、これだよ、”もう営業時間じゃないんだから、、”と言えばよいのだが。翌日は日曜で予報では最高気温が37度とか言っているので、明日やるのは辛いかな、、で早速出向いた。
 
すると外来用の駐車場に自分ちの裏庭から運び出した枯れ木やヤシの木が散乱している、、”こりゃ、アンタたち住人の責任で片付けてくれないと”そうは言っても駐車場に散乱したゴミをそのままにしておく訳にはいかんだろう、、其処で空いたゴミ缶、240リットル入りを2缶用意して植木バサミで細かく砕いて行く。そうしないとゴミ缶に入らないしそのまま捨てたらゴミ缶が5缶くらいはいるぞ。そんなで悪戦苦闘、汗びっしょりになりながらの40分、孤軍奮闘となった土曜の午後でした。流石にこの住人もオレの顔色が変わっているのが判ってこそこそと逃げて行った、、。
 
ったく冗談じゃないよ、、自分ちの裏庭のゴミの始末までやらせるとは、、すっかり此方もふて腐れの仏頂面。折角の週末だし機嫌を直して一杯やるか、、家内は今日は”ばあちゃん同士の忘年会”とかで居ないので今度はゴミ缶をビール缶に持ち替えてリモコンを操作。丁度始まった映画があってどんなかな、、とさわりだけでも見る事に、、、そして気が付いたらもう優に8時過ぎ、すっかり夜メシも忘れて見てしまった。
 
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これがその映画、英語のタイトルは”Love Crime”(10年)だがフランス語の原題は”Crime d'amour”、日本では劇場公開はされずDVD化もされていないようだが何とWOWOWが版権を買い付けこの6月に配信、放映していた。”ラブ・クライム偽りの愛に溺れて”と言う邦題らしい。
 
実はブライアン・デパルマ監督が12年に制作した”パッション”はこれのリメイクだ。此方がオリジナルって事になるのだがこりゃすこぶる付きのミステリー・サスペンスに仕上がっている。
 
舞台はフランス、クリスティン・スコット・トーマス扮するクリスティーヌはやり手重役、そのアシスタントのイザベル(リュディヴィーヌ・サニエ)は優秀で何時も一目置かれる存在だ。
 
その彼女がカイロへの出張を命じられ現地ではクリスティーヌの彼氏と合流、クリスティーヌの名代として成功裏に仕事を終える。ところがその業績をそっくり自分の手柄として横取り、、、そのあたりからお話は一転サスペンスへ直行だ、、。
 
同じような設定でマイク・ニコルス監督が88年に制作した映画は”ワーキング・ガール”だが雰囲気が似ていたのは此処まで、、此処からがもう今は忘れられてしまった”フィルム・ノワール”っぽい展開でビールを飲むのも忘れちまった、、。
 
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此方はメラニー・グリフィス扮する”ワーキング・ガール”が手柄を横取りする上司のシーゴニー・ウィーバーを相手に孤軍奮闘するお話だった。骨折して休暇中の上司に代わって業績を上げ彼女の恋人だったハリソン・フォードまでも手に入れてしまうと言うコメディタッチ、、最後まで安心して見る事が出来る映画だったのだが、、、此方はそうは行かない。
 
上司の彼氏だったフィリップとは良い仲になり何時しか愛し合う仲に、、そんな状況下である日上司だったクリスティーヌを突然刺殺してしまう。
 
其処からがこの映画の真骨頂、当然部下だった自分が疑われる事を予想して巧妙なトリックを巡らせる。普段から精神安定剤を服用しているように会議の席でも薬を飲む仕草、上司からプレゼントされたスカーフと同じものをもう一つ買い揃え犯行現場にその切り端を置く、巧みな細工で犯行時には映画館にいる姿を残し、、最初の上映回ではさりげなく目立たぬように自販機で切符を買い館内に入ると出て行く観客に紛れて裏の出口へ、そして再入場する時は目立つ格好で窓口の兄ちゃんに現金がないのでクレジットカードで払いたいと印象を残す細工、、凶器のナイフは売店で買うのだが売店のおばちゃんに難癖をつけ印象を残す、、でも実際にはそのナイフは犯行には使用しない、、それにダイイングメーセージは彼女がクリスティーヌの指を使って血で自分の名前を書く、、更には不正発覚を巡ってやり取りのあった機密書類を細工したり、、、と綿密な計画犯罪映画の出来上がりだ。
 
このあたりの細工は往年の名画”太陽がいっぱい”を思い起こす。そして用意周到の仕上げは裏切った愛人、フィリップを真犯人として差し出す事だ。一時は拘束されていたイザベルは証拠不十分で釈放され元通りの生活へ、そして会議中のフィリップが警察に連行されていくところで映画は終わるのだが、、イザベルの忠実な部下でもあり理解者でもあるダニエルが何時もイザベルが手放す事なく持っていた薬の中身が実は精神安定剤ではなく処方箋の必要ない単なるビタミン剤だと気が付く、、おいおい、そうなると続編が見たくなるじゃないか~、、。
 
このイザベルを演じたのはリュディヴィーヌ・サニエと言うフランス映画界のスター、03年に”スイミング・プール”と言うこれまたミステリアスな映画で惜しげもなくそのおっぱいを披露していたのが印象的だった。主演のシャーロット・ランプリングも負けじと凄かった、、。
 
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 日本国内では劇場公開もされず、、と言う事は収益的には勝算がないと判断した為だと思われるがそれをWOWOWが版権を獲得して放映している、多分色々な映画と抱き合わせとは思うのだが社内にもこれは”グーなミステリーだ”と判断した担当者がいるって事か??こんな風に夜メシを食うのも忘れて没頭出来る映画は好きだな~、、WOWOWもやるじゃないか。