”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”あなたを抱きしめる日まで”(13年)

最近の傾向として”Based On True Story”とか”Inspired”とか表記されるケースが多い。要するに”真実に基づいて”と言う事でこれは昔からもあった。伝記映画とは一線を画しているが原作が事実に基づいて書かれたものであれば当然映画化にあたってその表示法も生きてくる。
 
昨晩2014年度最初に見た映画もそれ、、事実に基づき書かれた原作が映画化されている。タイトルは”フィロメーナ”、、邦題は”あなたを抱きしめる日まで”、、うーん、、この邦題はな~、、担当者は相当苦労したんだろうな。海外では原題をそのままそのお国言葉で表記しているので日本でもそのままでも良かったんじゃないか?
 
恐らく本年度の各映画賞の候補、それに獲得も間違いない秀作なのでそのヘンから敢えて果敢に邦題を捻り出したと推察される。
 
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主演はジュディ・デンチ(フィロメーナ)とスティーブ・クーガン(マーティン)、監督はスティーブン・フリアーズ。脚本、それに制作まで俳優兼でスティーブ・クーガンが演じている。
 
舞台はアイルランドの片田舎、うら若きフィロメーナは幼くして妊娠、親からは見離されカソリック修道院へ送られてしまう。このあたりはアイルランドの背景が判らないと何でそんな事に、と思うが半世紀以上も昔は結婚もせずに妊娠した女性はその罪を償い、まっとうな生き方を伝授すると言う理由で強制的に厳格な修道院に送られ同じような境遇の若い女性たちと規律正しい共同生活をしていた。
 
授かった子供は男の子、アンソニーと名付けられ別棟で暮らしている。毎日時間制限付きでの面会は許されているが、一般家庭のような訳には行かない。その心のよりどころだったアンソニーがある日突然に里子に出されてしまう、、、。
 
そして50年後、フィロメーナは看護士として長い間勤め、娘もいる。その娘があるパーティ会場でマーティンに遭遇、立ち話から彼が”作家”と聞き、思わず”母の相談に乗ってくれないか?”と持ちかけてしまう。マーティンは労働党政権下で政党アドバイザー的存在だったが最近首になり又、以前手掛けていたロシア文学でも研究して著書にしようかと考えていたところ、、人間探しは自分の得意分野ではない、と最初はこの突然の申し出を断るのだが、。
 
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上がこの映画での二人、スティーブ・クーガンとジュディ・デンチ、下がホンモノの二人、、マーティン・シックススミスとフィロメーナ・リーである。
 
実物のマーティンは09年にこの映画の原作となった”The Lost Child Of Philomena Lee”を出版しているが現在はロンドン在住でロシア通として自身の著書その他で活躍中だ。
 
 
 
 
そして映画は二人が出会いフィロメーナのたっての願いで調査を開始する事に、、ジュディ・デンチとマーティン二人の会話が歯切れ良く場内は爆笑、、この辺りは脚本を買いているスティーブの才能だな、。日本語に翻訳するか吹き替えする場合は一体どんな事になるのやら、、見聞きしてみたい反面、これらはどんなに優秀な翻訳者が担当しても日本の劇場で館内をこんなに沸かす事は出来ないだろうな、、と余計な事を考えてしまった。
 
兎に角元気なオージーの観客だ。火曜日だとあって映画館は半額デイ、しかも夏休み中とあって(この映画を見に来ている観客には関係ない)窓口に並ぶこと20分、、場内もほぼ満員の盛況だった、、しかもおっちゃん、おばちゃんばかり、、、日本でこれだけの”熟年層”を集められる映画はそんなにないだろうな、、。
 
フィロメーナとマーティンの”珍道中”形式、アイルランドへ渡りそれから遠路アメリカへと展開していく。そして半分くらいが経過して思いがけない展開に、、やられた、、おっとティッシュ、ハンカチ、、持って来なかったよ。隣の家内にハンカチ貸してくれ、、とも言えずそのまま上向き加減に乾くのを待つ、、、、。
 
そして98分後、、エンドロールが出ているのに誰も席を立たないよ、、、真ん中だったので別に此方はどうでも良いのだが通路側の人たちが出て行かないと俺たちが出れないじゃん、、、もう9時過ぎ、就寝時間だよ~、。
 
やはりこうして映画館で見る映画は心地よい、、半額だし、(でもこれってシニア料金と変わらない、じゃオレたちは何時行っても同じ??)それに良い映画に出合える喜び、これに尽きる。今度ジュディ・デンチに会えるのは”マリーゴールドホテルで会いましょう2”でこれは先の続編だ。インドへ移住したイギリス人仲間たちの騒動、奮闘記、、こちらも楽しみだ。