”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”それでも夜は明ける”(13年)

うーん、、、この邦題は、、担当者がご苦労されてこれになったと言う事は判るのだが、、ちょっと懲りすぎじゃないのかなぁ~、、原題は”12 Year A Slave”、”奴隷生活12年”、、である。映画をご覧になれば判るのだが、無理やり拉致され違法に奴隷市場に売られた結果12年の長きに渡り自由を奪われ、過酷な労働を強いられたお話なので厳密に言えば人身売買である。実在したソロモン・ノーサップ(1808~63年(?))と言う人の自伝に基づく著書の映画化である。
 
映画の舞台は1841年のニューヨーク、サラトガと言う郊外の街、其処から南に下ってワシントンDC、更には南下してニューオーリンズ近郊へ、、そしてサトウキビ畑から綿花農場だ、、。
 
その頃の日本は”天保の改革”、水野忠邦は、徳川第11 代将軍・家斉のもとで頭角をあらわし、天保 8 年(1837 年)4 月に徳川家慶 ()  が第12 代将軍に就任すると勝手御用掛を兼ね、天保 10(1839)年 12 月 6 日、老中首座に昇格した。 とある。アメリカではジョン・万次郎がアメリカ船に救われた頃とか、、。”OK牧場の決闘”は1881年なのでそれよりも40年も前の事、南北戦争よりも随分と前の時代である。
 
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これが主役のソロモンを演じたキウェテル・イジョフォーで監督はスティーブ・マックイーン、、そうあのスティーブと同じ綴りだが何の縁戚関係もないそうな、、。
 
今年のオスカーでは作品、主演男優、助演男優、女優、衣装に監督そして編集その他、、、と何と合計9部門にノミネートされている秀作である。先のゴールデン・グローブでは作品賞を獲得、そりゃもう大向こうを唸らせる大変な評価の映画である、、、。
 
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此方はサラトガ市に1999年に立てられた彼の”記念碑”、1808年に”自由の身として生まれ、サラトガ市から拉致され1841年に奴隷市場に売られた、、1853年には解放され著作”12年を奴隷として過ごす”を残す。
 
映画を見るまでこのソロモン・ノーサップの事も知らなかったし一体どんな経緯で奴隷になってしまったのかも判らなかったがやっと納得出来た。
 
それにしても当時、人間を奴隷、モノとしてしか見なかったアメリカ南部人の良識とは一体ナンだったのだろう、、もう家畜以下の扱いに終始している。幾ら綿花などを欧米に輸出する為に労働力が必要だったと言われてもこの扱いには面食らう、、。南北戦争は1861年、ソロモンが解放されてから大分経過してから起きるのだが南部の奴隷解放反対派と北部の解放派との間で4年もの間、悲惨な戦いが行われた”内戦”である。ついでに”風と共に去りぬ”はやはりこの時代、60年代の南北戦争を挟む時代に南部のジョージア州を舞台に起きた物語だ。勿論此方はマーガレット・ミッチェルの小説が基になっており時代設定には間違いがなくとも完全にノンフィクションの物語だ。しかし当時のスカーレット家やレット・バトラーみたいな人間はいたハズでモデルになっている人物は必ずやいたのではないだろうか、、。
 
確かにこの”それでも夜は明ける”、、専門家諸氏の賞賛は判る、でもはっきり言っておっさんにはどうにも納得が、、出来ないとは言わないが納得したくないと言うのが本音だ。脚本の良さ、撮影の良さ、、それらは充分に伝わって来るし演技力だってそりゃもう半端じゃない。技術的な面ではこれに匹敵する映画はそうそうあるもんじゃない、しかし例えば昨晩”キャスト・アウェイ”を見たのだがこの二作品を比較すると、10年以上の歳月が隔たってはいるがロバート・ゼメキス監督に軍配を上げざるを得ない、。