”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”Welcome Aboard"(12年)

昨日今日と野球は暫くお休み、次のALCSNLCS、両リーグの優勝戦、4勝勝ち抜きが土曜から始まると釘付けになるので今週最後の映画鑑賞だ。最初はフランス映画、英語のタイトルはそのままに”Welcome Aboard"とタイトルロールにもそのまま英語で表示されている。飛行機に乗ると良くスタッフにそのまま言われるが”ようこそ、いらっしゃいませ”とでも言えば良いのか、、でも映画の内容とはちっとも合ってなかった。
 
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これがスチールポスターなのだが映画会社の宣伝部風に書くと、、風光明媚がフランスの田舎町を背景に初老の元画家と行きずりの孫ほどにも年齢の差がある若い娘、、彼は長い人生に疲れ、絶望し、若い少女は自分の将来を悲観して、そんな二人が偶然に出会いそして新たな世界に飛び立って行きます、、。”、、とまあこんな感じ。
 
このおっさん、映画の中の設定では60歳なのだがどう見ても日本人の感覚だと70歳かそれ以上、、実年齢は撮影当時64歳らしい、、そして少女は15歳、、ちょっと此方は日本人の感性から見るともっとませている雰囲気なのだが、、。
 
おっさん、、タイランディアはそれなりの成功を収めた画家、今は奥さんや孫にも恵まれ、悠々自適な生活らしい。でも何が気に入らないのか優柔不断で全身から人生に絶望している雰囲気が漂ってくる。ある日奥さんには書置きを残し勝手に車に乗ると何処へともなく去って行く有様だ。
 
途中の銃砲店で猟銃まで買い込む、こりゃよからぬ事を考えているのか?大雨の中を森の中へ乗り入れて案の定、猟銃を取り出し自分の喉元へ向けるのだがどうしても引き金が引けない、雨中で泣きながら叫ぶのだが自身で命を絶つことさえ出来ないと判って失意のどん底で車を何処ともなく走らせる、、。夜半、雨中の交差点で信号待ちをしていると助手席をドンドン叩く少女があらわれる。最初は商売絡みかと見向きもしなかったのだが”お願い、此処から連れ出して”と言われやむ無く助手席に乗せるのだがこれがメリールウと言う15歳の少女だ。
 
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それからこの二人の奇妙な”珍道中”が始まる。珍道中とは言っても最初に2-3泊はモテルに宿を取るのだが海岸が見える街で地元の不動産屋からコテージを借り其処で共同生活をする事に、、。
 
メリールウは母子家庭だが母親のパートナーの家庭内暴力が激しく家を飛び出して来たことが判る。母もそれを引き止めもせずそれが将来に絶望し、なり振り構わずタイランディアの車に乗せて欲しいと懇願した理由だった。
 
 
初老の元画家だがとこうして海岸際で少女と生活をしているうちにタイランディアは序々に人と接する喜びを思い出しついぞ近年は手にした事もなかった筆にも手をのばすようになる。知らず知らず海岸で少女の肖像画を書いたり表情豊かな少女をスケッチ・ブックに描く事が日課になる。一方のメリールウもお祖父さんとも言えるタイランディアと一緒にいる事で普段の快活さを取り戻してくる。ある日、町のチンピラに誘われパーティへ行くのだが不良仲間に危うく暴行されそうに、、帰りが遅い少女が心配で町のクラブや遊び場を探し回ったタイランディア、間一髪駆けつけ猟銃の威嚇で不良どもは一目散に逃げて行く。そんな事がきっかけでお互い心配もするし心を通わせる事に、、。
 
そんな展開でタイランディアは奥さんにメッセージは残すが自分もやっと生きる意味を見出した様子や二人のどうって事のない生活振りが綴られて行く。終盤、買い物帰りに買った新聞の紙面、そこにはDVで重傷を負ったメリールウの母親の写真が、先のパートナーに暴力を振るわれ窓から転落した様子だ。勿論警察の捜査が入り彼の方は傷害とDVで逮捕され刑務所へ、過去にも暴力歴があり今回メリールウの失踪理由もその暴力沙汰が原因となれば当分社会復帰はない様子。タイランディアと病院へ母を訪ねるがICUで絶対安静の重体、でもお医者さんからは”ちゃんと治りますよ”の太鼓判だ。
 
時間が経過して夏の海岸から雪の降る元の街へ戻ったタイランディア、、其処の子供部屋にはメリールウも一緒に生活している。奥さんもすっかり我が子のように可愛がり二人共生きる喜びを感じながらメリールウの母親が完治するのを待っている、、そんなストーリーでした。大掛かりな映画ではないしロケを中心に日本なら差し詰め2時間枠のテレビドラマとして制作されても良いちょっとホンワカ気分にさせてくれる良質の映画でありました。
 
セリフは全部フランス語だし字幕は英語、、これって結構読みまくるのが疲れるのだがある意味、活字で読んだ方が理解度が増し、かなり微妙な表現まで理解出来るのは助かる。かと言って英語の映画に英語の字幕を出されるとダメですが、、。でもフランスの海岸を背景におっさんと少女の交流を描いた良作だった。ワタシも今度大雨の夜に街中を走ってみるかな???風邪を引くのがオチだろう、、、。
 
 
WOWOWさん、、どうでしょう?こんな映画は、、、還暦世代を泣かせる、、ってとこまでは行きませんが腐ってもフランス映画、、なかなかですよ。こんな映画を配信してくれりゃ嬉しいですよ、。
 
 
 
 
 
 
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