”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”ブルー・ジャスミン”(13年)

イメージ 1圧倒的な演技力で今年のオスカーで主演女優賞を獲得したケイト・ブランシェット、そして監督はウッディ・アレン。映画館で見た時とテレビ画面で見たのとではかなり印象は違う、、が映画の良さはむしろ再見した時の方がより”秀作”として感じる事が出来たようだ、。
 
やはりこれは勿論監督兼脚本を担当したウィッディ監督の才能なんだが何にもまして脚本が素晴らしい。具体的にはセリフが妙に生々しい、と言うかこれそのまま実生活でも使えるのではないかと思わせる。昨今4文字セリフの罵倒、卑猥さが満載されている映画界だがウッディ監督は主役陣には一切そんな事は求めずひたすら”普通の会話”に徹している。当然内容にも左右されるのだが時として自堕落になりセレブ生活から一転、どん底生活に甘んじていてもジャスミンにはそんな下品な言葉は喋らせない。
 
個人的にはウッディ・アレン=ニューヨークの作家、、と言うイメージを長く持っていた。主演作や監督作も多く傑作も数多いしハリウッドに拠点を置いていなくても俳優さんたちはウッディ監督の作品に選ばれたくて行列も厭わないとか、。35年生まれなのでもう喜寿のお祝いが近いハズだがまだ精力的に活躍されている。本名はアラン・スチュワート・コニスバーグと言ってロシア系ユダヤ人なのだが15歳の頃に地元ニューヨークのブルックリンで発刊されていた地方新聞紙に”お笑い記事”を書き始めたのがこの世界へ入るきっかけだったそうだ。
 
77年の”アーニー・ホール”更に79年の”マンハッタン”では主役、監督、脚本と3役をこなしこれで彼の映画界での地位を確立したと言っても良いのではないだろうか。
 
この”ブルー・ジャスミン”は;
 
上流階級から転落したヒロインが再起をかけて奮闘し、苦悩する姿を描いたドラマ。ニューヨークの資産家ハルと結婚し、セレブリティとして裕福な生活を送っていたジャスミンは、ハルとの結婚生活が破綻したことで地位も資産も全て失ってしまう。サンフランシスコで庶民的な生活を送る妹ジンジャーのもとに身を寄せたものの、不慣れな仕事や生活に神経を擦り減らせ、次第に精神が不安定になっていく。それでも再び華やかな世界へと返り咲こうと躍起になるジャスミンだったが、、by 映画. com
 
確かにケイト・ブランシェット演じるところのジャスミンは自分の事を喋りだすと止まらない、、見栄張る嬢で自分でも知らずに勝手に創作したヒロインになっているし職業にしろ同様、、これから勉強してなりたい、と言う願望だった筈なのに人に”職業は?”と聞かれると堂々と”インテリア・デザイナーよ”と名乗ってしまう。コケティッシュな可愛さから思わず言ってしまう、、のとは違って完全たる確信犯なのだが懸命に現状を打破しようとする結果かと、、見ている方は妙に納得。でも過去のセレブ生活が忘れられないと言うかその頃の生活感がそのままでそれをご本人も変える積もりが一切ない。
 
こんな映画はやはりウッディ・アレン監督、脚本家としてどツボにはまった独壇場、昨今彼以外にこんな映画を撮れる監督はいないだろう。ケイト・ブランシェットもそりゃセレブらしい衣装とアクセサリーだが日中からウォトカやワインを煽る役柄なので”美形”はすっかり影を潜めどちらかと言えば汚れ役に徹している。その内なる葛藤を演技にしてオスカー会員納得の一世一代の名演なのだろう。ふと感じたのだが60年代初頭ならこの役柄はエリザベス・テイラー以外には考えられない。すると”バターフィールド8”か”熱いトタン屋根の猫”か、、、すると待てよ、ウッディ・アレンの脚本はテネシー・ウィリアムズの戯曲に限りなく近づいているって事になるぞ、、。
 
 
 
 
 
 
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