”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”モーガン氏最後の恋”(13年)

原題は”Mr. Morgan's Last Love"直訳すればまさにそのままの邦題なのだがどうも日本では未公開らしくそのまま”ミスター・モーガンズ・ラスト・ラブ”と表示されているらしい。ドイツ人の女流監督、サンドラ・ネテルベックがパリを舞台に撮った”シニア・ラブ”とでも呼べそうな映画である。

主演は初老はもう通り過ぎたマイケル・ケイン、この映画ではアメリカ人の設定だがパリにずっと長く住む元大学教授、、リタイアして大分年月が経過しているようだがフランス語は全くダメ、奥さんを亡くしてパリの中心部の広いアパルトマンに一人住んでいる。

イメージ 1そんな彼が暇を持て余してダンス教室へ通い始める、、この辺はあたかも”Shall We ダンス?”の設定なのだが大きく違うのは彼はもうとっくにリタイアしているし舞台が”花の都”ってことか、。

兎に角お話はその若い先生、自分の半分以下の年齢のポーリーン(クレメンス・ポーシー)とお互い気を遣う間柄になっていく、、これが”ラスト・ラブ”って事に繋がるのだが彼、モーガン氏には自分の息子や娘にも言えない、、言ってない秘密がある。映画ではフラッシュバック的にそれが何かを予感させ、又、それが彼の精神を不安定にもさせ、睡眠薬を手放せない状況に追い込んでいる事が判るのだが、、。

ある日、ポーリーンが若い男と楽しそうに出掛けていく場面に遭遇しモーガン氏はいとも簡単に人生を儚んでしまう。結果睡眠薬の飲みすぎで昏睡状態、、病院へ担ぎ込まれる。翌朝、息子のマイルス(ジャスティン・カーク)が、そして今度は娘のカレン(ギリアン・アンダーソン)がアメリカからすっ飛んで来るが病室でひしと抱き合っているパパとポーリーンを目撃してしまい双方ナンとも複雑な感情が交差する、。子供たちは自分たちより年下のポーリーンは財産目当てだと主張するしモーガン氏は”そんな事は余計なお世話だ”、”ちゃんとオマエたちに残すものは残してやる”の一点張り、双方全く歩み合う余地もない。

そして娘はさっさとアメリカへ帰ってしまうが何回となく息子と対峙するうちに彼の抱えている秘密が語られていく、、それは末期ガンに冒された最愛の妻が自分の悲惨な姿をこれ以上晒したくない、そして辛い治療を絶って楽にして欲しいと懇願され彼女のたっての願いを聞いてしまった事である。この辺りの演出や脚本は”さあ泣け”ではなく誠にさらりと、、だが彼、モーガン氏の苦悩が見事に”演技”されている。やはりマイケル・ケインの独壇場、、それに息子、その間に挟まれるポーリーン、。パリを舞台に実にリアルで切実な物語が展開されていく、、、まあこんな場合、自分ならどうする??とつい考えさせられる。

映画の終盤、モーガン氏は全てを息子に語り息子もオヤジのやった事を非難する訳でもなくしっかり抱き合うので双方やっと理解し合えたと言う結末、、でもポーリーンはオヤジさんじゃなくて息子のマイルスが離婚協議を終えて又、パリへ戻って来るので待ってて欲しいと言う言葉に頷くからもうオヤジの出番はないって事か、、そうだよな~、そりゃ無理もないぜ、、と思いつつなんだこれじゃ”最後の恋”じゃなくて”最後の失恋”じゃないのか??と思わず唸ってしまった。

ポーリーンに置き手紙を残して一人パリの街角へ出て行くモーガン氏、、さて何処へ行ったのか??フランス語もロクに喋れないのに一人で可哀想だな、、。




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