このモノクロ映画、原題は”Witness For The Prosecution”、まさに”検察側の証人”(出版時の邦題)なんだが映画化では何とも刺激的に”情婦”となっている。制作されたのは57年、監督はあのビリー・ワイルダーである。同年に”Love In The Afternoon"が”昼下がりの情事”として公開されているので当時の配給元はディートリヒには”情婦”、オードリーには”情事”とかなり思い切った邦題を付けていた事が判るのだ。これは私自身、かなり昔に見た唯一のマレーネ・ディートリヒ作品なんだがブロ友のfpdさんが年明けかにご覧になり手放しで賞賛、☆☆☆☆を表示されていた。ワタシも再度見たくなりダメ元でfpdさんに”ボクも見たいかな~”と強請ってみたら折り返しそのDVDをお送り頂いた。
嬉しいじゃありませんか、、ツーと言えばカーとDVDがそのまま送られてくるなんて。早速DVDをブルーレイに突っ込んでスウィッチ・オン、、でも何回やっても”このDVDは認証しません”と表示が出てちっとも見せてくれないのだ。ありゃ~、、これはリージョンコードが違うのかシステム自体がオーストラリアの機械に対応してないのか、、残念だな~、、っと暫くはそのままに、。
fpdさんには折角お送り頂いたのでその顛末をご報告しなきゃとは思っていたのだが”見れませんでした”と書くのも気が引けてそのまま二週間が経過、。家内に”折角日本から送って貰ったDVDが見れないんだよ、”と愚痴ると、”じゃ、パソコンでやってみたら?”、、そうだその手があったじゃないか、、っで早速パソコンのお皿受けを出して装填しようとDVDに人差し指を突っ込んだ、、、ウン、待てよ、DVDの下に薄いプラスチックの下敷き状のものが付着しているじゃないか??ありゃ、、これのせいか?っと慌ててパソコンは放り出して今度はブルーレイのお皿口を引き出してDVDを挿入してみると、、ジャッジャジャ~ン、、いきなりライオンが吠え出した。
そして2時間後、仰け反る程に満喫して☆☆☆☆、、☆を進呈したいくらいの満足感で一杯になっているのです。もうこれは”古典”名作として文句なしの映画、キレのあるセリフ回し、脚本の良さ、原作のプロットの良さからキャストまで素晴らしい法廷舞台劇となっている。しかも最後はどんでん返しの連続、、野球で行けば8回の裏に起死回生の同点ホームラン、更にランナー三塁でセンター前にポテンヒット、追加点を入れてこれで勝ち越し、、と思いきや9回の裏に更に二死二、三塁で8番バッターが見事にセンター返し、世紀の大逆転っ!!って映画で御座います。
58年のアカデミー賞では最優秀監督を始め6部門でノミネートされていた。この年は”戦場に架ける橋”が作品賞その他独占してしまったがノミネートされたと言うことはもう立派に認められたと言うことではなかろうか?
原作はアガサ・クリスティが33年に書いた”検察側の証人”で53年には舞台劇として上演されている。映画でも街頭や町並みは殆んどなく弁護士事務所兼自宅、それと法廷が舞台だが全く飽きさせず、舟を漕ぐ暇もないくらいドップリとアタマの先っぽまでその展開から目が離せない、、素晴らしい映画でした。fpdさん、改めましてありがとう御座いました。
この映画でのクリスチーネ役、マレーネ・ディートリヒ、1901年、ドイツ生まれで92年に90歳で亡くなった。
ほぼゲイリー・クーパと同世代なので流石にリアルタイムでは拝見した事はないのだが記憶にある一番最後は61年、スタンリー・クレーマー監督の”ニュールンベルグ裁判”だったか?
ではちょっとストーリーを allcinemaより抜粋、、
金持ちの未亡人を殺した容疑をかけられたレナード(パワー)は、老齢ながらロンドンきっての敏腕弁護士ロバーツ(ロートン)に弁護を依頼。だが“検察側の証人”として法廷に立ったレナードの妻クリスティーネ(ディートリッヒ)から、思いもかけない証言が発せられた……。ミステリーの解説ほど馬鹿げたものはないので、これ以上ストーリーは語れない(ああっ、これは誰が書いたんだよ)。
ストーリーだけでも充分面白い作品だが、それだけでは名作には成りえない。ロートン、ディートリッヒ、パワーの芸達者ぶりと、ワイルダーの語り口の上手さがあってこそ、ここまでの完成度を誇る映画となったのだ。それは、82年にTVムービーとしてリメイクされた「検察側の証人」が物語以上の魅力を持ち得なかった事でも明らかであろう。
やっぱり素晴らしい映画は活力になる、”情婦”なんか要らないぞ、、と心底思わせる名画である。
こんな悩ましいシーンは一切ないし必要もないのであります。
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓