”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”野良犬”(49年)

映画ファンなら”野良犬”と聞けば反射的に、、黒澤監督を思い起こすだろう。ワタシもご多分に漏れずこんなタイトルをDVD群に見つけ、では早速とばかりに再生を。そしたらいきなり”テレビ朝日開局55年、、、”と出るのでこりゃクラシック・シネマを再上映しているんだ、、と思いきや続く表示が、”黒澤明、ドラマ・スペシャル、”、”となっていた。何だテレビドラマでリメイクじゃないか?

イメージ 1オリジナルは流石にワタシでもリアルタイムじゃ見てない。49年に公開されているので未だオシメをしている頃じゃないか?面白いもので人間はその人生、最初と最後にオシメのお世話になるんだな~、、いかんいかん話が逸れた。

この映画は”羅生門”、”生きる”、それに”七人の侍”以前の作品で戦後すぐの東京を舞台にした刑事ものである。ドキュメンタリータッチの映像と三船敏郎志村喬の白熱した演技が印象的な掛け値なしの名作だ。

そしてDVDのドラマ編は、、配役が江口洋介大杉漣広末涼子等などで放映されたのが13年だった。

ストーリーは連日の張り込みで疲れ果てた刑事がバスの中でついウトウト、、気がつくと腰の拳銃が紛失している。弾が5発装填してあるので5人の殺害が可能になる。って事で江口刑事が大慌てするのだが、、オリジナルと一緒なのは此処まで、あとのストーリーは全然違うのだ。なので別に”野良犬”とせずとももっと違う邦題でも良いのじゃないだろうか?それに”野良犬”らしい箇所はないし戦後すぐの東京を背景にしていたからこのタイトルの意味があったので此処はアメリカ風に「”黒澤監督の”野良犬”を題材としている”」って断りがあれば良かったように思うのだが?

オリジナルはモノクロ、暑い東京の夏、張り込みで光る三船刑事の首筋に光る汗、効果的な音楽、後楽園を舞台にした犯人確保作戦、、何れも手に汗を握るサスペンスに仕上がっていた。こっちのドラマもそれなりに昭和を思わせる場面やジャズの使い方、見所はあるのだがやっぱりダメだった。途中ダレるし緊迫感に欠けている、根っこの部分では登場人物全員が郷里、広島の呉に繋がって行くのだが、。

結局、黒澤監督に敬意を表して最後まで見てしまった。はっきり言って”野良犬”に拘らなきゃもっと上質の刑事ドラマになっていたんじゃないだろうか?まあしかし黒澤プロダクションに版権料を支払うならタイトルも一緒に付いて来るんだろうなぁ~。