”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”The Hidden Fortress"(58年)と”Sanjuro"(62年)

何気なくFOXのワールドムービー欄を見ていたらこんなタイトルが、、ああっ、こりゃ間違いないぞと慌てて録画すると、、やっぱり”隠し砦の三悪人”だった。これは58年に公開されているがモノクロスタンダードの画面、デジタル・リマスターじゃないので画面がちょっと暗くてハッキリしてないのだがストーリーは変わってないしまさに黒澤監督独特の今風に言えば”アクション大作”である。

そしてその次に放映された映画が”Sanjuro"、、これはもう間違いなく”椿三十郎”である、何故急にこんな映画を?ひょっとして黒澤監督の命日か?と思ったが違った。忘れた頃にこうして邦画も放映してくれるのだ、、英語の字幕が入るのが目障りだが、うん、これって同様に洋画に字幕が入っているのは目障りか?いや、でも日本語のセリフで英語の字幕はどうしても気になってしまう。ちゃんと訳されているのかヘンな解釈をされていないだろうな、、とつい読んでしまうのだ。って事はやはり同じ現象か?

イメージ 1隠し砦の三悪人”、これはもうタイトルからして素晴らしい。まさに映画のタイトルそのもので看板にこんな風に書かれていたら間違いなくフラフラと館内へ吸い込まれてしまうぞ。始めて見たのはさて何時だったか?無論リバイバル上映された時に違いないのだが十代に見ている筈だ。

この映画の大枠が後年、ジョージ・ルーカスによって”スターウォーズ”に転用されているのは映画ファンなら誰しも知っている事だがレイア姫=雪姫、そしてお供の百姓コンビがCー3POとR2D2に置き換わっているのだ。77年の最初の”SW"、(エピソードIV)制作時には三船敏郎にはオービーワン・カノービーをやって欲しいとの出演依頼があったのだがこれは残念ながら実現しなかった、、この役柄だけは断らずに演じて欲しかった、と思うのはこのジジいだけじゃないだろう。

イメージ 2そしてこの”椿三十郎”、これは61年に公開された”用心棒”の続編とも言うべき映画なのだがこの両作品は直後にセルジオ・レオーネ監督&クリント・イーストウッド主演で”荒野の用心棒”、”夕陽のガンマン”、そして”続・夕陽のガンマン”と三部作の元ネタになっているのだ。

”続・夕陽のガンマン”のラストシーン、お墓での”善人、悪人そして醜人”の三つ巴、変則決闘場面が一番の見せ場だった。此方の”椿三十郎”では三船敏郎仲代達矢の決闘シーンがクライマックスに、、無論、拳銃と違い刀が相手に届く距離に近づかないとお話にならないのだが、、これは何回見ても息詰まる緊迫感が一気に高まる名シーンである。ストップモーションで画面をコマ送りにしても何がどうなってるんだか判らない、斬られた仲代達矢も訳が判らないうちに地面にぶっ倒れていたんだろう、、それ程に凄まじい歴史に残っている名場面、”殺陣”なのだ。

黒澤監督の企画力、そして独創的な視点、この二本を見る限りアクション派の監督と見られがちだが”七人の侍”の生き様、”生きる”のような人間ドラマ、”羅生門”で見せた究極の人間のエゴ、、全作品にテーマがありセリフにはユーモアのセンスもあり何れも素晴らしい映画になっているのだ、、。いや~、、実に久し振りに邦画三昧、それも堪能させて貰いました。FOXさん今宵も”Thank You Very Much!”