原題はそのまま”The Post"、これは首都ワシントンDCに拠点を置く”ワシントン・ポスト誌”の総称だ。監督はスティーブン・スピルバーグ、主演はメリル・ストリープにトム・ハンクス、ジャンルとしては”印刷業界の暴露もの”って事になるのだが実際に起きた事件でヴェトナム戦争にまつわる合衆国政府の見解を暴露した”ペンタゴン・ペーパーズ”のお話だ。
時代は71年、最初はライバル誌の”ニューヨーク・タイムス”が政府の分析結果と国防総省が持つ国家機密を新聞の一面にスクープした事に始まる。”ポスト誌”はそれに追従する形で実際にニュースソースは同じ、国家機密を記事にし両誌とも国家機密をバラした罪で最高裁判所でその可否を問われる事になる。
しかし巧い女優にはこんな役が向こうから転がり込んで来るのか、それとも逆にメリル・ストリープをメインキャストとして企画されたのか?このキャサリン・グラハム役はもう彼女っきゃいないだろうと言う適役だった。キャサリン嬢は父親そしてご主人から受け継いでこの歴史ある新聞社を任されるようになるのだが実際には対銀行、出資者との間で株式上場について交渉する役柄、決して新聞発行の現場にいた訳ではない。そっちの方はトム・ハンクスが演じた編集主幹、ベン・ブラッドリーの役割だ。
76年に制作された映画、”大統領の陰謀”ではこの”ポスト誌”の現場で実際に記事を書くために奔走した記者の活躍を描いている。その記者を演じたのがボブとカールで夫々をロバート・レッドフォード、ダスティン・ホフマンが演じている。
今回見た映画の終盤に警備員がウォーターゲートビル内の事務所の鍵が壊されているのを発見する場面がある、、、それがこの一連の物語の始まりであり”大統領の陰謀”ではそれに始まる疑惑、それの暴露に視点が置かれている。それにこの時のダスティン・ホフマンは3年後にメリル・ストリープと”クレーマー、クレーマー”と言う大傑作に共演しているのだ。
話の筋は100も承知してたしひょっとしてその”大統領の陰謀”のリメイクじゃないのかなぁ~、、と思っていたのが全然違った。主題は”国防省が国家機密として保管しているものを公にして良いのか?”、それは”民衆は真実を知る権利があり。民主主義下では新聞社は書く自由がある”、、この争点である。確かに何でもかんでも印刷して国民に全てを晒してしまえば機密漏洩になるんだし特に戦争に置ける政府見解や部隊配置等は極秘事項であるべき事柄だろう。
そんな業界で全てを超越した感じのキャサリン・グラハムを実に上手く演じているメリル・ストリープには感心させられた。確かこの映画でもオスカーの主演女優賞にノミネートされていなかっただろうか?”恐れ入谷の鬼子母神、、””結構毛だらけ猫灰だらけ、、”っとまあ昨日の”水の形”に続いてこっちは”紙の形”って映画でした。