”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”雲の中で散歩”(95年)

こりゃ酷い邦題じゃないか、、まあ原題が”A Walk In The Clouds"なのでそのまんまの直訳、でもこんな時こそもっと映画の内容に沿った素晴らしい邦題を付けて欲しい。

映画の元ネタは42年に制作されたイタリアのコメディ映画、”Four Steps In The Clouds"と言うものでこのキアヌ・リーブス版はリメイクになる。確かこの”Clouds”と言うのは舞台になる”お屋敷”(95年度版では広大なワインナリー)を指すような気がした、、低く垂れこめた雲の合間に見え隠れする、、じゃなかったかな?なので邦題の”散歩”するってのは意味が違うような、、。

キアヌ・リーブスも若い、85年からずっと映画に出ているが大ヒットして一躍若手ナンバーワンに躍り出たのが”スピード”、94年だった。続編への出演依頼を断って出たのがこの95年のメロドラマ、彼自身かなり後悔しているらしいがもしこれに出ず”スピード2”をやってたら又違う俳優生活になったんだろう、、。

映画の背景は戦後すぐの45年、舞台はサンフランシスコだ。出兵直前に結婚したベティの元へ帰ってくるがどうもしっくり行かない、そのベティに勧められて以前やっていたチョコレートの訪問販売を開始、北部のナッパバレーを目指すのだが。

イメージ 1列車内で出会ったヴィクトリア(アイタナ・サンチェス=ギホン)と意気投合するがひょんな事で互が持っていた列車の切符が入れ違ってしまう。ポール(K・リーブス)は途中下車して今度はバスに乗るのだがそこには手前の駅で降りたヴィクトリアも同乗、、だが途中から乗って来たアホな二人組に絡まれそれを助けたポールは三人揃ってバスから無理やり降ろされてしまう。

映画はやっとそこから本題へ、、どうもこのヴィクトリア、広大なワイン農場の一人娘でぶどうの収穫時期に帰って来たのだが妊娠している様子。大学に在学中だがその相手にはとっくに逃げられ未婚の女性が妊娠して帰って来たとなれば父親から殺されかねないと心配しているのだ。そんなヴィクトリアに付き添い、じゃあ”オレが一日夫役を演じるよ”と申し出てしまう。

そして二人は父(ジャンカルロ・ジアニーニ)と祖父(アンソニー・クイン)の待つお屋敷へ、、。家族一同大喜びで二人を迎えるのだが、父はちっとも面白くない、400年も代々と続く由緒あるメキシコの名家、そこへ何処の誰とも判らない白人が一人娘の結婚相手だなどと認められないと憤慨するのだ。

そんなメロドラマ仕立てで続いていくのだが、、祖父を演じたアンソニー・クインが実に巧い、すっかり全員を食ってしまっているしその存在感は画面からもちゃんと判るのだ。この映画に主演した時は既に80歳だった、、その後01年に86歳で亡くなってなってしまったのでこれが劇場用映画としては”最後から二番目”の出演作になった。

オリジナルのイタリア版は評価も高く同じような設定で3回も制作されている。このキアヌ版は日本じゃ完全に忘れられた存在だし、評価もさほど高い訳じゃない。でも孤児院育ちの好青年が戦争のトラウマにうなされながらもヴィクトリアの為に人肌脱ぐ、そして一族に受け入れられヴィクトリアの愛も獲得しパパの判らない子供まで育てる決心をする、、結構ハマりました(´▽`)。