”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”人間の証明”(78年)

原作はホテル屋の大先輩、森村誠一、彼の代表作には違いないがどうやら角川春樹に乞われて76年に書き下ろされたらしい。恐らく最初から映画化(?)を念頭に書かれていたような節もあるのだが、、昨晩何気なくJ:Comのチャンネルを回していたら(こりゃ死語だ)ボタン検索していたら御大三船敏郎の登場場面に出くわした、そしてそのまま最後まで。

イメージ 1個人的にはこの映画、かのクラシック邦画”砂の器”にかなり影響を受けているのではないかと感じている。あっちは松本清張が60年に読売新聞に掲載するので書き始めたもので実に一年に及ぶ連載期間だった事を覚えている。なので此方の”人間の証明”は後発なんだ。

双方とも壮大なスケールではあるが共通する事柄が非常に多いのだ、、例えばこの映画では”キスミー”と殺された若者が呟いており所轄の刑事はその意味の解明に走る、、あっちの”砂の器”では”カメダ”と言う言葉に深い意味が隠されていて今西警部以下捜査員がその意味の解明に走るのだ、、更には重要なカギを握る人物は共通して銀座の蝶、、それも口封じに殺害される。それに肝心の犯人は共通して無一文からのし上がり成功した人物だ。

まあそんな共通項はあるが公開されてから40年が経過、三船敏郎松田優作を始め多くの配役陣はもうこの世にいない、、でもその反面、竹下景子岩城滉一ジャネット八田などの若い頃の顔を発見出来る。無論映画としてはそりゃ大々的にニューヨークロケも敢行され、ジョージ・ケネディが刑事役で登場するが”器”を超えるには至らない、、推理小説の原型としては双方遜色ないのだがこれはやはり演出、脚本、撮影及び演技陣そしてそれらを全部まとめる監督の差であったのか、。

原作が非常に面白かったのでやはり此方は映画化が良くなかったと言うケースなのか、、その点”器”の映画化は原作を超えるような出来だったし何百人も使って制作する映画と作者が一人で書き上げる原稿の違いって事に落ち着くのか?

当時のキネ旬では翌年50位にランキング、読者選出第8位となった。配給収入は22億5000万円となり、この年の興行ベストテン第2位を記録した。原作小説を読んでから映画を観るか、あるいはその逆かといった意味の「読んでから見るか、見てから読むか」という宣伝文句も話題となった、、らしいのだが残念ながらこの年から83年まで日本には居なかったのでリアルタイムじゃ映画は見てない。原作はとっくに読んでいたので私的には”読んでから見た”って事になる。まあハッキリ言ってどっちでも良かったのだが、、、