”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

アーガイル家 VS 犬神家

イメージ 1これは極上のイギリスのミステリードラマ、ミニシリーズ(三部作)として現在放映されている”無実はさいなむ”だ。原作はアガサ・クリスティで57年に”Ordeal By Innocence"として発表されている。アメリカでは84年に映画化されドナルト・サザーランドとフェイ・ダナウェイが主演、その時の邦題は”ドーバー海峡殺人事件”と訳の判らないタイトルに、、。

此方のミニ・シリーズ版では主演がビル・ナイ、彼が資産家でアーガイル家の当主そして訳ありの家族がゾロゾロ出て来る。アガサ・クリスティの常道で殺されるのはこのアーガイル家、当主の妻で容疑者は家族全員、、しかし普段から厄介者だった長男の指紋や凶器が現場で発見され逮捕、、そして獄中で死んでしまう。

そこへ現れるのが彼の無実を証明出来ると言い張る男でストーリーは此方が主役になり進んで行く、。

イメージ 2そしてこっちは横溝正史原作の”犬神家の一族”、金田一耕助石坂浩二が演じた市川崑監督版である。

何度となく映画化、舞台化されているがやはりこの76年度版が一番衝撃的で出来も良かった記憶がある。

今回先の”無実はさいなむ”を見てて何となく双方共通するな、、と見比べてしまったが財界の大物当主が亡くなりその財産の行方を巡って殺人事件が勃発そしてその犯人探しに奔走するのが金田一探偵って筋書きだった。

イギリスのアーガイル家の方は長男の無実を証明出来ると現れたアーサー・キャルガリが二部以降その事件解決のカギ役となり真犯人を追及していくような雰囲気なのだ、、アメリカで映画化された時もこのアーサー役にドナルド・サザーランドが抜擢されていたのでやはりこっちがメイン・キャストになるんだろう、、。

設定、背景は非常に似ている。アーガイル家には5人の子供がおりその全員が大きなお屋敷に住んでいる、、しかし全員が孤児か他人の子供で当主夫妻には実子がいないのだ。そして屋敷には長女の夫、、これが先の大戦で負傷、車椅子生活を余儀なくされていて長く料理番として働くメイドも同居している。そして第一話では妻が殺害されて18か月が経過しアーガイル(ビル・ナイ)が再婚する事になりガーデンパーティの真っ最中なのだ、、そこから先は今夜のお楽しみ、、っと。

まあこれはその風土、文化、それに歴史の違いだが横溝正史はおどろおどろした設定、そして暗い過去を引きずり何やら怨念が沁み込んでいる、その殺しの手口も残酷極まりない、一方のアガサ・クリスティは各自が表情は明るく喜怒哀楽は激しいがその内心は読めないし殺人に及ぶ心理描写が実に巧い、無論これは演出、脚本、演技力なんだが日英どちらも極上ミステリーとして甲乙はつけられないなぁ~、、。