”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”マリゴールド・ホテルで会いましょう”(12年)

こんな映画は三度の飯より大好きだ、、原題は”The Best Exotic Marigold Hotel"でそのホテルが建つのはインドのジャイブールだ。其処を目指してやって来るお客さんが全員イギリスからで皆さん訳アリだ。

 

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監督は”恋に落ちたシェークスピア”や”至上の恋”を手掛けたジョー・マッデンでこの成功から同じ配役で続編も監督している。まあ一種の群像劇ではあるのだが遥々インドへやって来る皆さんは何かしら問題を抱えている。それでもイギリスから見ればインドは物価も安いし、気候も良いし、、(ちょっと暑過ぎかな?)イギリスからだと比較的簡単に移住が可能らしい、。

そして宣伝広告に吊られて”エキゾチックな雰囲気満点のマリゴールド・ホテル”を目指して自分の家や財産を売り飛ばしやって来るのだ。ところが来てみるとムンバイどころかトンでもない僻地で延々とバスを乗り継がないと辿りつけない、、しかもそのホテルたるやオンボロ・ホテルでこれから改修を経て生まれ変わる前の姿だと判る。

そんな劣悪な環境のホテルへやって来てしまうのがイヴリン(ジュディ・デンチ)そしてダグラス(ビル・ナイ)とジーン夫妻(ペネロープ・ウィルトン)、ミュリエル(マギー・スミス)とグレアム(トム・ウィルキンソン)、更にはマッジ(セリア・イムリー)にノーマン(ロナルド・ピックアップ)と言う”マリゴールドの七人”だ。

現地のホテル側からはソニー(デーヴ・パテル)、彼の恋人がスナイナ(ティナ・デサイ)、ソニーのママ、カプール夫人(リレット・デプイ)が迎えてくれる。

まあ兎に角、映画の出だしから笑わせてくれる、。まず登場人物全員の背景が語られるのだがこの設定が実に巧みだ。セリフの節々から笑える演出で派手な動きはなしでも彼らの性格までしっかり見ている側には判るって寸法、全員がホテルを目の前にして失望する場面には気の毒で同情出来る。それを口八丁手八丁のインディアン特有の言い回しで納得させようと努力するソニーの舌ったらずの英語がこれまた実に可笑しいのだ。

中にはこれは詐欺だ、、と言って帰ろうとする者もいるが長旅で既に支払いは終わっている、、そのままUターンする訳にも行かず全員が部屋を割り当てて貰い共同生活を余儀なくされる。そんなお話でストーリーが進むにつれて夫々が自分の置かれた立場をわきまえてこのインドの土地での新生活を受け入れて行くのだ。

同時にホテルのオーナーでもあるカプール夫人と支配人として将来を見据えている息子のソニーに彼の恋人、スナイナの絡みがどんどん発展して行く、、ママは息子の嫁は名家の娘をと目論んでいるのだがそうは簡単に物事は進んで行かないのだ。この辺りの展開は例えインドと言えども日本となんら変わところがない、。

先の”七人”がメインのお話だが終盤へ来てこりゃやっぱり続編を作らないと終われないじゃないか、と納得してしまう。こんな映画は是非吹き替え版なんぞに頼らずに生の声とセリフで楽しんで貰いたい。オーストラリアじゃ爆発的大ヒットとなりロングランを果たし、続編が公開された時は長蛇の列だった、、。