”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

新旧の”探偵”-Sleuth、、

オリジナルは72年に制作されている。主演はかのサー・ローレンス・オリビエ、相対するは新進のマイケル・ケインであった。この映画、本来は舞台劇なのだが登場人物が二人だけと言うもので有名な作家の奥さんに手を出した若者がご当人と対峙する、、と言う話である。劇中奥さんは一切出て来ない、ご主人とこの若いツバメ君との英知を巧みに使ったやり取りだけである。

72年度版はまさにローレンス・オリビエに為に作られた台本、脚本で独壇場の演技が素晴らしかった。対するマイケル・ケインコックニー訛り丸出しで必死に自分の方が奥さんを愛しているんだ、と訴える場面はなかなかの迫力であった。後日談だがこのシーンのテイクのあと新進の彼としてはオリビエを前に演技するなんて夢物語、何回もテイクで失敗し緊張の連続だったそうな、、それが最後にこの階段下から必死に訴える場面の収録後、オリビエ公に何気なく”オレの後任が出来て嬉しいよ”と声を掛けられたそうな、、これは有名なエピソードでこの時の嬉しさがそれからの彼の演技人生の糧となったとアクターズ・スタジオのインタビューでもしんみりと語っていたのを思い出す。

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そしてこのリメイク版、07年の”スルース”、配役は何とその昔、オリビエ公が演じた作家を今度はマイケル・ケインがそして若いツバメをジュード・ロウが演じる事になる。そして監督、制作はケネス・ブラウ、、これまで何回か見る機会はあったのだが、、評判がイマイチなのとオリジナル版の印象が強く、イメージを壊したくないので何となく敬遠していた。だが遂に見てしまった、、、やはりやめときゃ良かったと言うのが本音だがそれはそれなり二人の演技力が画面に炸裂し充分(?)に楽しめた、、。

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やはりリメイクを超えるのは難しい、それは判っているのだが大事なのはオリジナリティである。推理劇に関しては結末を書き直さない限り必然的に同じ結末なんだからオリジナルを見た観客にはどうなるか判っている、、そうなるともう興味は半減、と言う事になり折角の演技も結末を知った上で見るのは全く思い入れが違ってしまう。その辺は制作者側も十分承知でリメイクは舞台をハイテク満載の住宅にし音響にも大分凝ってしまった、、どうもオリジナルを意識し過ぎてしまいやり過ぎのキライが、ここは舞台劇なんだから昔ながらのイギリス風お屋敷の方が似合っているのではないだろうか、、。