”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”ビスマルク号を撃沈せよ!”(59年)

リアルタイムで見ているのだが半世紀を経過してやっと又、見る事が出来た。多分当時は字幕を読むのも覚束ない齢だったし内容だってドイツの戦艦を追っかけて沈める、、とだけしか理解していなかった。このビスマルク号の映像は実物だが当時は日本の”大和”や”武蔵”などの船影をエンピツで描くのが好きで学校では競うように書いていた記憶がある。
 
イメージ 1実際に英国海軍の艦隊に追い詰められて撃沈されたのが41年5月27日、就航したのが前年の8月だから僅か一年にも満たない短い世界最強戦艦の末路である。
 
映画の制作年度はアメリカの資料によると60年なので実際に撃沈されてから20年、多分当時英国海軍だった人達の談話なども取れているだろうし時代考証はかなり正確なのではないだろうか、、今なら90年に起きた事件を再現している訳だもんな、、、。
 
そんな事を思いながら古い記憶を辿るように見たのだが、、ダメだ全く覚えてない。出だしは英国海軍司令室に着任して来たシェパード大佐(ケネス・モア)、大変厳格な軍人でいきなり軍服の乱れや職務中にサンドウィッチを食べている作戦部員を叱る。優秀な女性士官、アン・デイビス(ダナ・ウィンター)に引き合わされ彼女がアシスタントとしてサポートする事に、、。
 
この人、ダナ・ウィンターが又、綺麗な人でこの英国海軍の制服姿、ぞっこんです。50年前にはそんな事は思いもしなかった、、これが大きく当時と違う点かも知れない。
 
イメージ 2
映画はモノクロだがこれは何かで使われたスチールのような、、ベルリン生まれの女優さんだが古くは50年代から活躍、テレビの普及に伴いスクリーンから各種TVシリーズに出演しているのでアメリカでの知名度は抜群に高い。まあその世代の人にはだが、、。
 
この女性士官の雰囲気は、、と考えてふと気が付いた、監督が007のルイス・ギルバートだ。そう考えると要所要所の場面で007の舞台、人物設定に共通する演出が目に付く。
 
シェパード大佐はチャーチル首相からの厳命でビスマルクを捕捉し英国海軍の威信にかけても撃沈しないといけない。息子が空軍に在籍、空母から発進してその行方を追うがそれでも捕捉出来ない、しかも息子は何処か海面に不時着してしまい行方知らず、現場に伝達する命令書は全てアン・デイビスへ記述、彼女の優秀さが唯一の頼りである。
 
クライマックスはやっとビスマルクの消息を得て海軍総勢で追い討ちをかけ、魚雷3発、砲弾400発を見舞い、沈没させる事に成功、、一方息子は無事他の艦船に収容され無事が判る。最愛の妻を空襲で亡くした大佐も人間らしさを取り戻し一人自室で大泣き、、それをドア越しに見つめるアン、、アメリカ赴任と言う大抜擢を断って、この大佐のもとで戦中を乗り切って行く決心を、、大佐がふと気が付くともう9時じゃないか、アンにビスマルク撃沈を祝って夕食に行こうと誘って外へ出るがそれは朝の9時、この5日間は一切外出もしていなかった事にきずく。そして朝飯を食べに、、、。
 
勿論CGはないし、海戦場面は波の高さと戦艦がちぐはぐだし、同じショットを何回も使用してはいるがイギリス海軍大佐が執念でビルマルクを追い詰める映画としては秀作だ。無駄なロマンス仕立てじゃないし昔を思い返してメシも忘れて魅入ってしまった、、。