原題はこれ; The Fortune Cookie、(フォーチューン・クッキー)である。
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その邦題が”恋人よ帰れ!我が胸に”、一瞬これは大真面目な恋愛ドラマかと思わせる。制作、公開されたのは66年、主演はジャック・レモンにウォルター・マッソー、紅一点としてジュディ・ウェスト、、監督がビリー・ワイルダー、と来ればこりゃ一筋縄ではいかぬ、そこいらの恋愛モノではないぞ、と予感させてくれる、、。
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ストーリーは至って簡単、フットボール中継中のTV局のカメラマン、ハリー(ジャック・レモン)はある試合中に若手ナンバーワンのランニングバック、ブンブン・ジャクソンにカメラごと倒されてしまう。実際には脳震盪を起こした程度で病院で一夜が明けるともうすっかり治っているのだが、、それを聞きつけた義兄で悪徳弁護士のウィリー(ウォルター・マッソー)は千載一遇のチャンスとばかり花形選手とそのチームを相手どって大掛かりな損害訴訟を起こそうと計画する。
最初は離婚へ向けて調停が進行中の妻への振り切れない想いや受け取れるかも知れない金額の大きさから仮病を承諾するハリーだが、、毎日のように試合をおっ放り出して病室へ駆けつけるジャクソンやそんな事とは知らない妻の献身的な看病に夢心地、しかし待てよ、、ブンブン・ジャクソンはすっかり意気消沈、試合に出ても全く活躍が出来ずチームでは有望視されていたのにすっかりお荷物に、、。悪どい義兄のウィリーはそんな選手の気持ちを思いやるな、これは我々一世一代の大勝負なんだぞ、、と毎回脅かされ上手く行けば又、元通り奥さんも帰ってくるじゃないか、、の一言で内心はグラグラの毎日。其処へ今度は保険会社から調査員が送られて来てすったもんだの大騒動、スラップ・コメディ仕立てではなくあくまで此処はビリー・ワイルダー・スタイルのコメディでお話は終盤へ、、。
画面はモノクロだしカメラは35mm、、しかしそんな事には一切関係ない”人生縮図”をテーマにした2時間のドラマは誠に見事な出来だ。制作当事3.7億円の制作予算で興行成績は6.7億円(当事のアメリカ国内だけで)最終的には66年、収益配当で24位の好成績をあげたそうな、。小粒だがぴりりと山椒が利いた”秀作”とはこの事ではないだろうか、。日本ではそれ程評価も上がらずだったらしいがこの映画をきっかけにジャック・レモンとウォルター・マッソーがコンビを組むようになったので(98年までに9作)この記念すべき一作目にもっと注目が集まっても良いのだが、、。