”オールド・シネマ・パラダイス”、、時々新作も

長年”映画と愛猫とオーストラリア”だったが札幌へ軟着陸し愛猫も亡くしこの新タイトルで心機一転だ。

”東京物語” VS ”東京家族”

てっきり今年の1月に公開された山田洋次監督の”東京家族”は小津安二郎監督作品(53年)のリメイクだしタイトルは同じだと思っていたのだが違っていた、あっちは”東京物語”でこっちが”東京家族”だった。
 
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確か劇場公開時ではなく後年何回目かのリバイバル公開で見たのだがこれはやはり日本映画界が世界に誇れる名作だろう。演技陣は素晴らしいし構成から独特のカメラアングルや舞台設定まで印象に残るものばかり、、ずっと若い頃に見たのでかなり客観的な見方が出来たし映画芸術として冷静に判断していたような記憶がある。
 
それが昨晩、かなり主人公の実年齢に近い世代になってから見た”東京家族”、此方も素晴らしいのだが気が付くとかなり冷静さを失ってすっかり主人公に自分を重ねて画面に見入っている事に気付かされた。主人公は72歳とあるのでまだ大分先輩だが3人いる子供たちが夫々全く違う環境と土地で暮らしているところは同じだ。
 
劇中では主人公夫婦は瀬戸内海に浮かぶ”島暮らし”だがそれをオーストラリアと言う”大きな島”に置き換えれば完全に我々の現状と同じ設定になる。まあ3家族とも東京ではなく別々の都会に住んでいるのでこの映画のように我々が上京し一同が一つ屋根に憩うと言う事はないのだが、、。
 
 
 
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以下、シネマ・トゥデイからの抜粋;
 
東京家族』の基本的なストーリーは『東京物語』と同じだが、大きく異なる点がある。それは『東京物語』で原節子が演じた紀子の存在だ。『東京物語』では戦死した次男・昌次の妻、つまり未亡人という設定で、終始どこか物悲しい印象を漂わせていたが、『東京家族』の紀子は舞台美術の仕事をしている昌次の恋人として、明るく朗らかなキャラクターに描かれている。紀子と接する、吉行和子演じる昌次の母・とみこは本当に楽しそうな表情を浮かべ、観ている側もうれしくなるのだ。
 
この紀子に代表されるように『東京物語』に比べ、『東京家族』は各キャラクターから少しずつ陽気な印象を受ける。『男はつらいよ』シリーズに代表される人情味あふれる作風の山田監督らしい作り。冷徹な視線で人物を見つめる印象の『東京物語』に対し、『東京家族』は情感豊かに物語るのだ。
 
本作は、山田監督が日本の家族を描くドラマで、幅広い世代が楽しめる内容となっている。特に親元を離れて生活している単身者や、結婚して実家を離れている人などは「家族とは何なのか」を見つめ直す良いきっかけになるだろう。
 
と若い世代に焦点を合わせた設定、視点とも言えるのだが今度は主人公に自分を重ねている世代に視点を置き換えると妙に身につまされる、、劇中主人公の平山周吉(橋爪功)がいみじくも”娘は嫁に行ったらそれっきり、、”らしき事を呟くのだがこれは世の男親誰しも思う事だろうし長男の嫁さんには妙に遠慮するのも事実、、末っ子の動向や将来はどうしても気になるし家内に先立たれるのは一番困る。そんな風に考えながら見ていたら家内が帰って来た、、、、さて今夜は炊事洗濯掃除、、何でもやるぞ。それにさだまさしでも聞かせるかな??