”エル ELLE"(16年)
主演のイザベル・ユベールは今年のオスカーで主演女優賞にノミネートされている。監督はポール・バーホーベンでジャンル的には”スリラー映画”と言えば良いのか?しかもかなり衝撃的な映画で舞台はフランス、パリの周辺そして全編フランス語だ。英語の字幕が入るので聞くより断然理解度は高いのが救いである。
しかしこの映画概要を書くのは大変だ、、なのでまず登場人物を、;
ミッシェル(I・ユベール) ー パリで成功しているコンピューター・ゲーム開発会社の社長。バツ一で元夫はシャルル。
ロベール(クリスチャン・ベルケル) ー 既婚者でミッシェルとは不倫中。
アンナ(アンヌ・コンシニ) ー ミッシェルの古くからの親友で共同経営者。
ヴァンサン(ジョナ・ブロケ) - ミッシェルの一人息子。同棲中のジョッシーとの間に赤ん坊が生まれるがどうもその子の肌の色が違う、、。
アイリーン(ジュデット・マーレ) ー ミッシェルの実母。若い男と同棲中近々婚約を発表して本気で結婚するつもりらしい、。
そんな具合で登場人物が錯綜する。夫々が何か”問題”を抱えており誰が誰とくっついているのか、、相関図がないと判らないくらいだが映画は出だしいきなりミッシェルが夜間、自宅で襲われてレイプされる場面から始まる。何も背景が判らないのっけからバーホーベン監督、いきなりおいでなすった。

しかしそのレイプ事件後、ミッシェルは警察にも届けないし誰にも相談する気はないらしい。一応病院で診察だけは受けるのだが、。そんなある日、会社のゲーム開発部署にミッシェルがレイプされているCG動画が送りつけられてくる。ミッシェルは犯人は絶対に自分の周りにいる人間で顔見知りなのではないかと社員を疑う始末だ。
この辺りから映画は警察を巻き込んだ単なる犯人探しではなさそうな雰囲気になって来る。一応家の鍵を全部取り替え、侵入されないように手はうち催涙スプレー缶や手斧まで買い込んで万が一に備えるのだが、、。
その後映画は獄中にいるミッシェルの父親、、そして母親の結婚発表、息子と同棲中の彼女との間に赤ん坊が誕生と淡々と進んで行くのだがレイプ犯、懲りないやつで又彼女の自宅を襲ってくる。幸いその時は、お向かいのパトリキが追い払ってくれた。スキー用の目出し帽を被っていたので顔は見えなかったと彼が戻って来るのだが、。
流石にオスカーにノミネートされただけあってイザベル・ユベールの真に迫った演技は素晴らしい、何となく何を考えているのか判らない表情、それに誰かれと誘惑したり会社の若いあんちゃんのパンツを脱がせて”アンタはユダヤ人じゃないのね?犯人じゃない”、、と切り捨てたりと圧倒される。実年齢は確かもう還暦をとっくに超えているのだがまだまだまだ魅力的だ、これにはビックリした。
何でもオーデション、と言うか監督が配役をする時点でニコール・キッドマン、シャロン・ストーンからジュリアン・ムーアまでリストアップされていたそうな、、しかしアメリカ組はどうもこの役柄はやりたくないそうで結果、撮影もアメリカを断念、フランスに移してイザベル・ユベールが最終的に配役されたらしい、。
ミステリー風に最後は犯人が見つかりめでたしめでたしと言う結末とは大分違った。ワタシにはちょっと彼女の心理が読めなかったと言えば良いのか、もしアレは彼女の作戦、、そうだったのなら彼女はレイプ犯の上を行く”確信頭脳犯”ではないのか??